西日本に迫る「大停電」の危機
今夏の電力供給予備率の低さは「非常事態」
2014年7月号
その日、関西電力関係者らの間に緊張が走った。週末から最高気温が連日三十度を超え、季節を先取りしたかのような暑さが続いた中で迎えた休日明けの六月二日。管内の電力需要は企業活動が本格化する午前九時を回ると同時に急速に上昇をはじめ、午後一時九分には二千三万kWと今シーズン初めて二千万kWの大台を突破した。
関電が事前に予想した当日の最高気温は三十二度、最大需要は二千二十万kW。しかし、実際の最高気温は三十一・三度にとどまったにもかかわらず、電力需要は同二十四分には二千二十八万kWにまで膨らみ、あっさり事前予想値を超過。そして午後二時三分にはこの日ピークとなる二千六十万kWを記録した。「供給力になお余裕はあったとはいえ、正直ぞっとした。このまま夏本番に突入したら一体どうなることやら……」。幹部の一人は不安を募らせる。
原子力発電所の再稼働が見込めず、半世紀ぶりに原発ゼロで迎えるこの夏。西日本エリアにおける電力の需給バランスが昨年にも増して「崩壊の危機」(経済産業省関係者)に瀕している。需給状態を示す供給予備率は、周波数五十Hzの東日本三電力管内が計六・九%と予測されているのに・・・