ソフトバンクの「ロボット進出」裏事情
孫正義の視線の先は「米国防総省」か
2014年7月号
二〇一四年六月五日、ソフトバンクはロボット事業への本格参入を発表した。人の感情を認識し、スムーズに会話できる人型ロボットを一五年二月から一般販売するという。この突然の発表に、周囲からはその意図を訝しむ空気とともに、顔認証技術と携帯電話事業とのシナジーやビッグデータ収集を通じた新ビジネスへの展開など、早くもさまざまな臆測を呼んでいる。そうしたなかで、一部から興味深い指摘がなされている。目的は最先端ロボット技術での提携を通じた米国防総省への「接近」にあるというのだ。
米国を熟知する孫氏のリスク管理
「これが愛することのできるロボットだ」
ソフトバンクの孫正義社長はコミュニケーションロボット「ペッパー」を、こう表現した。「身長百二十一センチメートルの人型ロボットを十九万八千円という低価格で発売するのには驚いた。よほど量産する気か、それとも赤字覚悟なのか……」と、ロボット技術が専門の大学研究者は勘ぐる。
ソフトバンクがロボット事業への参入に乗り出したのは、一三年七月のこと。ロボットビジネスを担う新会社「アスラテック」を設立し、社長にはソフトバンクの完・・・