Book Reviewing Globe 360
中国の「海への戦略的意思」は何か
2014年5月号
Asia's Cauldron The South China Sea and the End of a
Stable Pacific
Robert D.Kaplan
Random House
2014 $26.00
東シナ海の尖閣諸島をめぐる中国と日本の海洋地政学的対立は、南シナ海における中国とASEAN(東南アジア諸国連合)主要五カ国との領海をめぐる闘争と同時に展開している。
そこに劇的に示されているのは中国の「海への戦略的意思」であり、二十一世紀の国際政治の最大の不安定要因になりかねないアジアの海をめぐる米中の葛藤である。
九〇年代、冷戦終焉後の世界政治の激変を「地政学の復讐」の視点から活写してきた著者が南シナ海の海洋地政学―「アジアのるつぼ」の動態に切り込んだ。
南シナ海は、「西太平洋とインド洋の喉の役割」をしている。マラッカ、スンダ、ロンボク、マカッサルの海峡がこの海のチョーク・ポイントを形作っている。それらの海峡を通過する船舶航海量(トン数)は世界のそれの約半分に達する。
二〇一〇年、中国は南シナ海を「中核的利益・・・