日本で「二大政党制」が根付かぬ理由
野党第一党を支える制度と文化の欠如
2014年6月号
発足一年半を経てなお、五割前後の支持率を維持している安倍晋三内閣の最大の功労者は、野党かもしれない。それほど、野党の存在感は薄い。六月二十二日に会期末を迎える通常国会では、自由民主党国会対策委員会の拙さによる召集時期の遅れが痛手になると見られていたのと裏腹に、二〇一四年度予算が戦後三番目の早さで成立した。敵失を生かせない野党の弱さを象徴する例と言え、これでは、権力の暴走を止め、現政権とは違う選択肢を国民に示す役割など期待できない。もはや、野党の力不足を嘆くだけでは始まらない。野党を支える制度と意識に欠けた日本の政治文化について、国民自身が自問する時にきている。
英国では「女王陛下の野党」
五五年体制以降の問題の一つは、野党勢力が「アンチ自民」の姿でしかまとまらず、持続性と安定感のある野党第一党が育たなかったことにある。二〇一五年統一地方選を反転攻勢の契機とみて、衆議院で野党第二党の日本維新の会と第三党の結いの党の間で進められている合流構想も、憲法観が異なる両党をつなぐ理念に乏しく、両党合流で生まれる新党がその後の野党再編の主導権を握れば、共通項は「アンチ自・・・