福島「中間貯蔵施設」で稼ぐ暴力団
「濡れ手で粟」の怪しい土地取引
2014年6月号
福島第一原子力発電所の事故処理と除染作業が永久機関のように問題を垂れ流しながら行われている。震災後のどさくさに紛れて、暴力団が福島県を中心とする被災地を食い物にしていることを本誌は繰り返し指摘したが、ヤクザは新たな標的を見つけ出している。
「除染で出た廃棄物を管理する中間貯蔵施設をめぐり、キナ臭い話が絶えない」
福島県内の建設会社経営者はこう語る。この経営者は避難者ではないが、避難区域での除染作業に従事しているほか、震災前に双葉郡に住んでいた親戚がいる。「ヤクザは震災前より身近な存在になった」と自嘲するこの人物は、「土地取引と除染をめぐり暴力団関係者がうろついている」と語る。
五月に入り、復興庁と除染を担う環境省が中間貯蔵施設の用地買収方針を固めた。受け入れに向けた住民説明会の開催に同意した大熊町と双葉町について、震災前の市場価格の八~九割で買い取る方針を示した。両町の土地の資産価値は原発事故以降暴落しており、事実上の価値はゼロだ。
ここに至るまでには紆余曲折があり、その過程で暴力団が巧みに食い込んだ。
土地を物色する「フロント企業」・・・