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政治

安倍が目論む 「憲法改正」への道程

「任期中実現」に足場固め着々

2014年6月号

 憲法改正の手続きを定めた改正国民投票法が、与野党八党などの賛成多数で今月十三日にも成立する。秋の臨時国会からは、各党間で憲法のどの条項を改正すべきかの具体的論議が水面下で始まる。長期化が予想される安倍晋三政権下で戦後初めて、憲法が改正される可能性が現実味を帯びてきた。  今回の国民投票法改正には、衆院で自民、民主、日本維新の会、公明、みんな、結い、生活の七党が賛成したほか、衆院に議席を持たない新党改革も参院では賛成すると決めている。  共産、社民両党は反対だが、自民党筋は「与野党八党の賛成に、護憲勢力は相当焦りを募らせている」と語る。賛成した政党には濃淡はあっても、今後の憲法論議の土俵にも乗らざるを得ないとみられているためだ。 「改正する条項は何でもいい」  自民党が改正国民投票法の中身について、政治的行為が禁止されている公務員であっても、憲法改正に関する個人的な賛否の表明や投票の勧誘に限り容認するという妥協を行ったのには理由がある。  自治労と日教組という公務員労組を支持母体に抱え、改憲派と護憲派が混在する民主党をとにかく取り込み、超党派的な・・・