サウジ王室「跡目争い」が本格化
中東全域を揺るがす「世代交代」
2014年6月号
サウジアラビアで、アブドラ国王の後継をめぐる動きがあわただしい。王位継承問題では今年三月、国王の末弟ムクリン王子を「第二皇太子」にして安定化を図ったが、アブドルアジズ初代国王の孫の世代が王位に近づいたことで、有力な王子たちの跡目争いが本格化した。対米関係だけでなく、中東全域の政治にも影を落としている。
先頭走者二人は「治安のプロ」
五月中旬、スペインのフアンカルロス国王が大使節団を率いて首都リヤドに入った。国王は人気急落の中、経済界の大物たちとの中東歴訪で、「トップセールス」によって存在意義を示すつもりだった。
だが、今年九十歳のアブドラ国王は姿を見せず、「次世代」が勢ぞろい。サルマン皇太子(今年七十九歳=以下同)、ムクリン第二皇太子(六十八歳)に加え、ムハンマド内相(五十五歳)ら有力な孫(第三世代)たちもフアンカルロス歓迎の列に加わった。
「今のサウジを象徴する光景でした。八十二年の国の歴史より齢を重ねた国王の下、国がどこに向かうのか、誰が率いるのかもわかっていない」と、中東外交筋は言う。
王家をめぐる動きは目まぐるしい。第二皇太子発表・・・