ウクライナ「親欧派」の正体
米露イスラエルと結託する「新興財閥」
2014年6月号
五月二十五日に行われたウクライナ大統領選で、「チョコレート王」の異名をとる大富豪、ペトロ・ポロシェンコが大差で当選した。ロシアの圧力を受け、国際世論では「善玉」扱いされるウクライナは、一皮むけば新興財閥(オリガルヒ)に牛耳られる国であり、その地下水脈はロシア、米国、イスラエルにも伸びている。
経歴不明な新大統領
大統領選投票を間近にした五月中旬、ウクライナ最大のオリガルヒ、リナト・アフメトフが動いた。東部ウクライナを席巻する「親露派」武装勢力に対抗して、自分が経営する工場の労働者たちに、「こいつを終わらせてくれ」と頼んだ。アフメトフはドンバス産業地帯で、炭鉱や製鉄会社の大半を押さえる「ドンバスの帝王」であり、ウクライナ東部では約三十万人を雇っている。労働者たちは中心都市ドネツクなど五都市の街頭に出て、ダンプカーで武装集団の築いたバリケードを破壊するなどして、威力を見せつけた。
アフメトフはさらに、自分が持つテレビ局にビデオメッセージで出演し、「なあ、みんな、欧米の(対露)経済制裁で、俺たちも困るんだぜ」と、くだけた口調で紛争終結を呼びかけた。高価な・・・