習近平の野望 「新シルクロード構想」
中露接近の陰で江沢民派が復権
2014年6月号
ロシアのプーチン大統領が五月二十日、多数の随行員を従え、専用機で上海に乗り込んだ。クリミア電撃併合の後、じわじわとしめつける欧米の経済制裁に追いつめられるプーチンの胸の内には、中国との間で天然ガスの長期購入契約締結に是が非でもこぎつけようとの強い決意があった。
価格交渉で長年折り合わなかった契約だが、決着は急がれる。そのために中国との関係強化に大きくシフトした。その急速な接近ぶりは、ロシア国内の親プーチン派から「中国は危険だ」と懸念の声が出るほどだった。
中国との関係強化の中には、エネルギー分野のみならず、人民元建てのクレジットカードを中露間で決済できるようにするなどの金融分野での協調も含まれている。今回の随行員の中には、在米資産を凍結された国営石油大手ロスネフチのセチン社長ら、プーチン側近の富豪も含まれていたが、これにより、ニューヨークにおいている彼らの資金も中国に移すことができる。
盟友プーチンを待ち受けていた習近平・中国国家主席は、今年から二年間、「アジア信頼醸成措置会議(CICA)」という聞き慣れない軍事対話組織の議長を務める。もともとカザフスタンのナ・・・