暴走する中国の「紅い石油メジャー」
世界中で資源「買い漁り」に拍車
2014年6月号
かねて豊富な石油、天然ガス資源が存在すると推定されている南シナ海の西沙(パラセル)諸島、南沙(スプラトリー)諸島をめぐる領有権紛争でベトナム、フィリピンと緊張関係にあった中国がいよいよ実力行使に乗り出してきた。二〇一四年五月には、中国の中国海洋石油(CNOOC)が一方的に石油掘削を開始している。
米国エネルギー省の推定によると、南シナ海には原油埋蔵量百十億バレル、天然ガス埋蔵量百九十兆立方フィートもの資源が存在するとされている。〇二年には、東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国と中国は、南シナ海の資源開発の平和的な解決を目指して、「南シナ海行動宣言」に調印しているものの、法的実効力はなく、法的な強制力を持つ「南シナ海行動規範」の策定には中国は消極的だ。中国は、「南シナ海全域は中国の領海であり、石油開発は正当な権利」(中国外務省洪磊報道官)と強硬に主張しており、石油・天然ガス資源獲得への実効支配は強まるばかりだ。
こうした、中国による石油・天然ガス資源収奪の背後には、いまや中国政府の動きに大きな影響力を持つに至った中国三大石油メジャーである、中国石油天然気集団(CNPC)・・・