プーチンに屈従する西欧
欧州議会選「親露・反EU」躍進の衝撃
2014年6月号
ウクライナ危機が深まる中で、西欧諸国がロシアに屈服を重ねている。
「親露派」という名で、傀儡の戦闘集団を送り込んで、ウクライナを蹂躙するロシアに対し、欧州は軍事面での対抗措置を全く取れないばかりか、天然ガス供給やビジネス契約を人質にされて、経済制裁にも踏み込めない。
欧州の有権者たちは、「新冷戦の危機」の中で、ウクライナ問題への関与を拒否している。五月下旬の欧州議会選挙では、欧州統合そのものに反対する「反EU」政党が大量に得票し、孤立主義の様相を一段と強めた。
独仏英など西ヨーロッパ主要国は、ウクライナはもとより、欧州連合(EU)と北大西洋条約機構(NATO)加盟の東欧諸国からも距離を置く姿勢に傾いており、欧州には「新たなヤルタ(欧州分断)」の影が迫っている。
「ヤルタ」と同じ過ちを犯す米欧
五月二十日から二十六日までの一週間は、後世の歴史家が「転換点」を描く際に、必ず触れることになるだろう。中国・上海を舞台にした二十日の中露首脳会談で、プーチン大統領と習近平国家主席が互いの影響圏を認め合い、米欧覇権への挑戦を誓った。EU加盟・・・