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政治

《罪深きはこの官僚》原 德壽(厚生労働省医政局長)

臨床研究不祥事の混乱に「拍車」

2014年5月号

 医学界で臨床研究の不祥事が相次いでいる。四月十七日、厚生労働省は規制強化に向けた検討会を立ち上げた。遅きに失した対応について、全国紙の医療担当記者は「医系技官こそ、迷走の張本人」と指摘する。

 医系技官とは医師免許を持つ厚労官僚だ。そのトップが原?壽・医政局長である。一九八一年に自治医科大学を卒業し、京都府で僻地勤務の義務を果たした後、厚労省(当時は厚生省)に入省した。

 原の特徴は、指導力のなさだ。例えば、ノバルティスファーマ社(ノ社)と東京大学血液・腫瘍内科が結託して患者を騙したSIGN試験では、厚労省はノ社・東大に「マスコミからの接触や、新たな事実発覚があった場合、速やかに厚労省に報告する」ように指示していた。東大はこの指示に従い、「医局の技術補佐員が、ノ社のMRの依頼に応じて、全てのアンケート用紙のコピーを渡していた事実」を報告していた。ところが、厚労省内で、この事実を共有するための文書がメディアに流出し、全国紙が一面で報じる事態となった。原のやり方に嫌気がさした厚労官僚がリークしたためである。経緯はどうであれ、東大は「厚労省に騙さ・・・