日本製造業を脅かす「激安スマホ」
半導体業界「最後の牙城」も崩壊へ
2014年5月号
今、世界のエレクトロニクス産業でその開発動向が最も注目されている激安の「二十五ドル(約二千五百円)スマートフォン」。非営利団体のMozilla(モジラ)が提唱した「Firefox
OS」搭載の超廉価版モデルであり、新興国や途上国などで爆発的に普及することが確実視されているとあって、世界中の関係者の耳目を集めている。
これに対し、日本国内ではその事実が淡々と伝えられるだけで、ほとんど話題に上らない。それも当然だろう。全国紙の経済記者はその背景をこう指摘する。「高級機志向が強い日本市場で安いだけの二十五ドルスマホが普及するとは考えにくいし、日本メーカーがこの低価格市場にわざわざ進出する体力も意欲もない。今後も国産スマホが二十五ドルスマホと競合することはないだろう」。
だが、実はこの二十五ドルスマホの普及が、日本のものづくりを根底から揺るがす巨大な「脅威」になりかねないとの指摘がある。ほかでもない、半導体製造装置メーカーへの影響だ。
価格破壊と超大量生産競争が主流
二〇一二~一三年、相次いで経営危機に陥ったエルピーダメモリ、ルネサスエレクトロ・・・