グループ瓦解の「引き金」みずほ信託
いまや不満分子の「吹きだまり」
2014年5月号
反社会的勢力への融資問題が露見し、その経営能力が問われたみずほフィナンシャルグループが立て直しに向けて委員会設置会社への移行と、役員ポストの圧縮に動いている。佐藤康博社長の下での「ワンみずほ」路線の徹底が改めて前面に打ち出されているが、その掛け声とは裏腹に、主要部門のみずほ銀行を舞台とした「派閥抗争」は収まるどころか拡散し、いまやグループ全体の「地盤沈下」を加速させつつある。
その一端が、グループ傘下のみずほ信託銀行で広がる「異常事態」だ。旧安田信託銀行当時から信託ビジネスに従事してきた働き盛りの生え抜き社員たちの中途退職が後を絶たないのだ。退職社員の一人が、「中枢のポストは旧富士銀行の人間が占め、もはやみずほ信託銀行というよりも、富士銀行と名を変えたほうがいいくらいだ」と吐き捨てるように言えば、別の旧安田信託生え抜き社員は「いわば、旧富士による植民地経営だ」と苦笑いを浮かべる。
「ワンみずほ」が競い合いを助長
みずほ信託銀行がそんな「植民地経営」に陥った発端は一九九七年に母体、旧安田信託銀行の経営危機にまで遡る。この回避策として、旧安田信託は芙蓉・・・