「公的年金」で ひと儲け狙う投機筋
政府・日銀「株価維持策」も空振りに
2014年5月号
「時の政府が株価上昇に動き出したら、一応は敬意を払った様子を見せるのは常識だろう? でも必ず失敗するよ。マーケットをバカにしちゃいけない」
四月十六日、麻生太郎副首相兼財務大臣が「公的年金の動きがはっきりしてくると外国人投資家が日本株買いに動く可能性が高くなる」と衆院財務金融委員会で述べ、日経平均株価が一気に四百二十円上昇した。その日の夜のヘッジファンド運用担当者の発言だ。
日本の公的年金は年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用している。資産は昨年十二月末時点で百二十八兆五千億円。世界最大の機関投資家だ。その投資配分は国内債券六〇%、外国債券一一%、国内株式、外国株式が各一二%という水準。安倍晋三内閣は現在、株式の配分比率を上げるべく準備を進めており、すでに有識者会議で座長の伊藤隆敏東京大学大学院教授から「私案」として国内債券三五%、外国債券二〇%、国内株式、外国株式各二〇%という比率が提案されている。
国内株式の比率が八%上昇すれば、約十兆円の買い増しになる。また、外国債券、外国株買いで十八兆円相当の円売り効果も出る。円安=株高という二〇一三年に見た・・・