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政治

存在感増す「参院自民党」

政権の行く手を阻む「獅子身中の虫」

2014年5月号

 参議院で野党が過半数を占める「ねじれ国会」の解消から約十カ月。「決められない政治」の元凶と言われた「強すぎる参議院」が姿を変えて復活しつつある。近年の参議院批判の常套句となった「政局の府」としてではなく、「良識の府」の衣をまとって―。  代表的な事例は、集団的自衛権の憲法解釈見直しを巡り、参議院自由民主党が独自色を発揮し、総理大臣の安倍晋三を揺さぶっていることだ。安倍はもともと、四月に有識者会議「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」の提言を受け、五月の大型連休明けにも集団的自衛権を行使できるとする新解釈を閣議決定し、通常国会の残り会期で国会審議を行うという日程を描いていた。その思惑が狂ったのは、解釈見直しに慎重な公明党の抵抗もさることながら、自民党総務会での九年ぶりとなる「総務懇談会」開催や、党総裁たる安倍の直属機関としての「党安全保障法制整備推進本部」の設置など、党内手続きに時間をとられる羽目になったからだ。 「良識」の内実はエゴ  安倍や党幹事長の石破茂がそうした手続きを呑まざるを得なかったのは、党参議院幹事長の脇雅史ら参議院幹部が「野党の時・・・