軍強硬派と 習近平の「不穏」な政局
対米「弱腰外交」で深まる確執
2014年5月号
中国軍の太平洋進出に譲歩の姿勢を見せてきた米国のオバマ大統領が反転に出始めたようだ。ついに「台湾関係法」という伝家の宝刀の柄に手をかけたのだ。東シナ海に防空識別圏を設定し、西太平洋から米第七艦隊を追い出すという「中国の夢」に酔っていた中国軍首脳は、オバマの変心に激怒した。だが、中国軍の怒りはオバマだけでなく、その交渉相手である習近平国家主席にも向かっている。
軍の統制に不安
四月、中国では異様な動きが続いた。習近平が党中央軍事委員会主席の立場で、大軍区司令官クラスの将軍十八人に「忠誠表明」を書かせ、それを軍の機関紙「解放軍報」に公開した。半月後、同じく副司令官クラスの将軍十七人にも同じく忠誠表明を求めた。最高司令官が直属の司令官たちから反乱しませんという誓約書を集めたのだ。軍の統制に不安がある何よりの証拠だ。
さらに習近平は昨年末に新設した治安維持組織「党中央国家安全委員会」の初会合を四月十五日に開き、「中国は最も複雑な歴史の時代にいる」と演説した。国内の治安状況に強い危機感があるのだ。
そうした中、問題は米中関係である。オバマ・習近平の米・・・