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WORLD

世界「食糧戦線」に異変あり

中国が生き残り賭ける「争奪戦」

2014年5月号

 原油、天然ガスから鉄鉱石、銅、金まで世界のコモディティ(一次産品)に先安感が漂い始めている。中国、インドをはじめとする新興国の成長鈍化や資源高に刺激された資源開発の進展で供給過剰が鮮明になってきたからだ。鉄鉱石、銅は足元で最高値から三〇~四〇%の下落となり、原油は五年先物の価格が一バレル八十ドル前後と現状の二〇%安になっている。そのなかで、先高感が広がっているものがひとつある。穀物など食糧だ。なぜ食糧だけが先高なのか、そこには膨脹を続ける中国の食糧需要と習近平政権の食糧安全保障戦略の大転換がある。

 数年前、日本の一部の大手スーパーで中国米が国産米の半値以下で販売されていたが、最近はまったく見かけなくなった。代わってごく稀に棚に並ぶ外米は豪州米や米国米だ。何故、中国米は日本から消えたのか? 食の安全に敏感な日本人が嫌ったという理由もあるだろうが、中国が国内需要の増加でコメの自給が危うくなり、輸出する余裕がなくなったことが大きい。コメだけでなく、トウモロコシ、小麦も輸出の余力はまったくなくなった。

 二〇〇二年、中国はコメ、小麦、トウモロコシ・・・