NATOは終わった
ロシアがあざ笑う「無力な同盟」
2014年5月号
ウクライナをめぐる危機は連日、北大西洋条約機構(NATO)の無能ぶりを白日の下にさらし続けている。
米国と西ヨーロッパは、ロシアに近接する東ヨーロッパ諸国を防衛するだけの軍事力も、政治的意思も持ち合わせておらず、NATO条約が義務付ける「加盟国が攻撃された場合の集団的防衛」は空文化している。
ブッシュ、オバマ両大統領が「米国の安全」を最優先して、欧州の安全保障を軽視し続けた上に、ヨーロッパ諸国も軒並み歴史的な軍備縮小を行って、戦闘力を削ってしまった。その結果、ロシア近隣のNATO加盟国には、巨大な安全保障の空洞が生じている。米欧には、プーチン大統領による旧ソ連諸国への介入を止める手段がないばかりか、NATO加盟国の防衛さえ危うい状況だ。「最も成功した軍事同盟」と自画自賛するNATOは、終焉のふちに立っている。
プーチンに怯えるバルト三国
もはやこれしか手段はない。
エストニアのトーマス・イルベス大統領は、そんな覚悟を決めたかのように、世界のメディアに登場して、自国の危機を訴えている。縁なしメガネ、蝶ネクタイがトレードマーク。難民・・・