地方から「壊死」するロシア
クリミアは「野垂れ死ぬ」運命
2014年4月号
ロシアがウクライナ領クリミア半島を編入し、新冷戦の懸念を強める中で、旧ソ連各地に散らばる「ロシアの飛び地」は、国際的孤立と貧困から深刻な壊死状態に陥っている。カリーニングラードからカフカス地方まで、ロシアのか細い支援だけで生き延びるミニ・プーチン体制は、ロシア国家そのものの将来を暗示している。
「ゴースト国家」そのもの
クリミア半島は、ウクライナの平均所得を大幅に下回る、ひときわ貧しい地域だ。露政府が送り込んだ扇動部隊は、「ロシア、ロシア」と絶叫するだけで、生活をどうするのか何の約束もできなかった。
人々の脳裏には、五百キロ西のドニエストル川沿いの地峡が浮かんだはずだ。ウクライナとモルドバの国境に細く延びる「沿ドニエストル・モルドバ共和国」である。同川のルーマニア語呼称(ニストル川)から、「トランスニストリア」と通称される。
「タイムマシンに乗って迷い込んだような場所で、何をするにも見張られているような、閉塞感が恐ろしかった」と、現地経験のある欧州外交筋が言う。
この地峡はソ連崩壊期に、モルドバ政府の統治を嫌って「独立」に動いた。セバ・・・