「OPEC」石油市場支配の終焉
価格決定力を失った「烏合の衆」
2014年4月号
世界の石油市場に君臨してきた石油輸出国機構(OPEC)が、市場支配の終焉を迎えた。一九七三年のOPEC石油戦略発動から四十年以上を経て、世界の原油生産に占める割合は、ピーク時の五一%から、間もなく四〇%以下に落ち込もうとしている。何より、OPEC石油戦略の最大の標的だった米国が、近年のシェール革命によって、石油の生産高世界一をうかがい、長年の悲願だった「エネルギー自給」に近づきつつあることが、石油カルテルの政治力を大幅に弱めている。
一方でOPEC加盟各国は、その力の全盛期に、資源大国から経済強国への飛躍に失敗した。「アラブの春」の荒波の中で、リビアやイラクのように国家の将来さえ危うくなったところもある。加盟各国は今後、人口増加と民主化要求の圧力を受けて、さらに不安定になる見通しで、石油戦略で世界を屈服させた時代は完全に過去のものとなった。
北米だけで石油の自給自足が可能に
「アラブの春」の幕開けから三年の昨冬。加盟各国は多重的危機に見舞われた。
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