「領土拡張」に動き出す中国
プーチンに「触発」された習近平
2014年4月号
ロシアのプーチン大統領が、黒海の戦略要地、クリミアの併合を決めた。ベルリンの壁が崩壊し、ソ連邦が瓦解して二十数年間、欧米に押されっぱなしだったロシアの反撃だ。ロシア国民は久々の高揚感に包まれている。ロシア国内では今、ロシア語圏のウクライナ東部も併合せよという「新ロシア主義」が勢いづいている。
そのロシアを中国が見つめている。毛沢東思想で育った文革世代の習近平国家主席は、「中華民族の偉大な復興」を掲げながらプーチン型の強権政治体制を強め、外交の基軸をロシアに置いてきた。それだけに、中国はロシアの「領土拡張」に異論はない。プーチンは欧州方面で北大西洋条約機構(NATO)との対立を強めているが、それは同様にアジア方面で米国の軍事プレゼンスと対立を強めている習近平の状況と重なる。
今後、ロシアのクリミア併合が中国をどう刺激するか、注目は台湾統一の動きだ。台湾で大陸に一番近い金門島、馬祖島の住民は中国との一体感が強い。ロシア軍のように、中国軍が自警団に変装して侵攻すれば簡単に占領できる―。台湾では今、こんな噂が流れ始めているという。
ロシア、中国による「正しい歴史」・・・