みずほ新体制発足の「裏事情」
遠のく企業統治改革への道のり
2014年4月号
「辻田君や岡部君に責任の明確化を求めるというのなら、その前にまず僕のクビを切ればいいじゃないか! 旧行時代から大半を個人部門担当で過ごしてきたし、オリコとの提携ローンだって僕が担当の時からやっている」。系列ノンバンク、オリエントコーポレーションを通じた暴力団関係者などへの融資問題が正念場を迎え、行内での責任問題が焦点となっていた今年初め、みずほ信託銀行(TB)の野中隆史会長は佐藤康博みずほフィナンシャルグループ(FG)社長兼みずほ銀行(BK)頭取(=当時)にこう迫ったらしい。
野中会長は一九七五年旧富士銀行入行。旧日本興業銀行に七六年入行した佐藤社長兼頭取より入行年次が上で、東京大学の先輩でもある。しかも二〇〇八年TBに転じたとはいえ、前田晃伸FG元社長が名誉顧問に退き、震災直後に引き起こした大規模システム障害の責任を取って西堀利BK頭取(当時)が辞任した後は、「旧富士出身幹部らの人事と処遇を事実上、一手に握っている」(BK幹部)ともいわれる実力者だ。
「いかにグループCEO(最高経営責任者)とはいえ、佐藤がオレのクビに鈴を付けられるハズがない。そしてオレを切れない以上、・・・