中国は新たな「対日闘争」に邁進
年内は「関係悪化」の一途
2014年4月号
「三月十八日をもって、中日関係の一九七二体制は終わった。これからは新しい両国関係をつくらなければならないが、どういうものになるのか全く見えない」
三月二十一日夜、北京市中心部の日本料理店で、中国の元外交官は溜息まじりに、そう語った。日本に何度も駐在した経験を持ち、外務省内でも重要ポストを歴任した人物だ。彼が口にした三月十八日とは、北京市第一中級人民法院(地裁)の事務官が北京の女性弁護士の康健氏に「訴状を受理しました」と電話連絡した日である。
反日活動家としても知られる康弁護士は二月二十六日、「大戦中に日本に強制連行され炭坑などで重労働を強いられた」と主張する四十人の元中国人労働者らと遺族の代理人として、三菱マテリアルら日本企業二社に対し損害賠償と謝罪を求めて訴状を提出していた。
康弁護士への連絡は、裁判所の規定より約二週間も遅れた。「共産党指導部内で対日強硬派と慎重派の間で、激しい攻防が繰り広げられたためだ」と前出の元外交官は証言する。
「政府内では反対の声が最後まで強かったが、上の意向に逆らえなかった」と嘆いた。「上」とは習近平国家主席のことである。
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