政権与党内「安倍包囲網」の蠢動
キーマンは「福田康夫」
2014年4月号
近頃とんと音沙汰がなかった元首相福田康夫の名前が見え隠れするようになった。背景には首相安倍晋三の「外交総崩れ」がある。三月下旬、福田は自民党の最高幹部から要請を受けた。
「今のような中国、韓国との関係が続けば日本経済にも相当深刻な影響が出てくる。首相、議長経験者で関係改善に向けて側面支援をしてもらえないでしょうか」
福田はかつて小泉純一郎内閣で官房長官を務め、その下には官房副長官の安倍がいた。しかし、福田は小泉の靖国神社参拝による、中韓両国との関係悪化に強い危機感を抱き続けた。靖国神社に合祀されているいわゆるA級戦犯の分祀を目指した私的懇談会を発足させ、「追悼・平和祈念を行うための国立の無宗教の恒久的施設が必要」とする報告書をまとめたのも福田だった。しかし、小泉、安倍はこれを黙殺した。その後、拉致問題をめぐる日朝外交でも安倍や小泉の首席秘書官飯島勲と意見が合わず、福田は閣外に去った。
しかし福田自身は近隣外交の改善には強い意欲を持ち続け、二〇一三年四月、中国の海南島で開催された「博鰲アジアフォーラム」の際、中・・・