西風 394
「大阪センス」に負けた三越伊勢丹
2014年3月号
大阪女性のファッションセンスは豹柄を大胆に多用する中高年者のイメージが極めて強い。しかし実は、若い女性もまた東京とは違った派手好みで「ラテン系」などとも称される。この極めて特異な服飾感覚の前に、三越伊勢丹が一敗地に塗れた。
一月二十一日にJR大阪駅の「JR大阪三越伊勢丹」を運営するJR西日本と三越伊勢丹ホールディングス(HD)は、売り場面積(三万三千平方メートル)の六割を返上し、改装後は隣接する専門店ビル「ルクア」と一体で運営する方針を発表した。JR西日本の矢吹静副社長は会見で「百貨店が固まって入るわけではない」と話し、全国で唯一の「三越伊勢丹」の店名は事実上消滅することになった。
二〇一一年五月に三越伊勢丹が梅田に乗り込んだ際には「殴り込み」といわれた。阪急、大丸、阪神という既存百貨店も増床などで迎え撃ち、「大阪二〇一一年問題」「百貨店『梅田の陣』」と称された。
しかし、三越伊勢丹はスタートからつまずいたまま、一度も浮上することなく敗退に追い込まれたのだ。当初の売り上げ目標五百五十億円には遠く及ばぬ・・・