Book Reviewing Globe 358
国家衰退と改革の法則
2014年3月号
Balance The Economics of Great Powers from Ancient Rome to Modern America
Glenn Hubbard&Tim Kane
Simon&Schuster
2013 $28.00
日本の「失われた時代」はアベノミクスの登場をもって終わったわけではない。
それはまだ続いているし、アベノミクスの行方次第ではさらなる喪失の大団円もありえなくはない。
ただ、国々の興亡と栄枯盛衰の法則のようなものが日本に重たくのしかかりつつある感覚を、国民は持ち始めている。人口減少にしろ、国家債務にしろ、エネルギー不安定にしろ、どれもが日本の衰退を指し示しているかのような運命論に人々は囚われつつある。しかし、運命論は不要であり、危険である。
何が衰退を引き起こし、それに対するには何を行うべきなのかを冷徹に究明しなければならない。
その際、元米経済諮問委員会委員長らによるこの本は、古代ローマから現代のアメリカに至る帝国と大国の衰退の共通法則を、「経済と政治のバランスの喪失」という視・・・