安倍の次の狙いは「最高裁支配」
三権分立「形骸化」で司法も掌握
2014年3月号
「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、憲法及び法律にのみ拘束される―」。こう規定した憲法七十六条第三項は、権力の暴走を制御するための重要な条項である。もし、その良心を行政府の長がコントロールできるとすれば、三権分立とは名ばかりで、裁判所は時の政権の追認機関に成り下がるだろう。
総理大臣就任から一年余、日本銀行総裁、日本郵政社長、内閣法制局長官、日本放送協会(NHK)経営委員などの人事を主導し、要路に自らの政策や思想に近い人物を据えてきた安倍晋三が次に狙うのは、最高裁判所である。
最高裁の裁判官は、内閣の指名に基づき天皇が任命する長官と、内閣が任命する十四人の判事で構成される。安倍が目論むのは、安倍と思想信条が近い判事で十五人の多数派を占めることだ。裁判官は国会の弾劾裁判、国民審査、心身の故障以外の理由でやめさせられないため、七十歳の定年で退官する判事の後任に順次、意中の人物を押し込む考えのようだ。
十二人の人事に関与する計算
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