「手術難民」だらけになる東京
看護師不足「放置」の重いツケ
2014年3月号
東京都知事に選ばれた舛添要一・元厚生労働相は、医療と介護に力を入れると宣言した。そんな都知事の公約とは裏腹に、深刻な事態が都民に切迫している。
「東京は、手術を受けられない『難民』で、やがて溢れかえるだろう」
都の医療に詳しい医師は、暗い近未来を、そう予想する。
首都の高齢化は著しい。現在、東京には六十五歳以上の高齢者が二百八十万四千人いる。高齢化率(総人口に占める六十五歳以上人口の割合)は二一・九%だ。
東京都によれば、現在、都民の年間の推計入院患者数は十万六千人。このうち、約一四・五%が都外の施設に入院している。「多くは認知症」(都内の勤務医)だ。現在でも、東京の医療は周辺の県のサポートがなければ立ちゆかない。
東京の高齢化率は、二〇四〇年には三三・五%に達し、現在、我が国で最も高齢化が進んでいる秋田県の三〇・七%を上回る見込みだ。増えるのは認知症の患者ばかりではない。がんのような緊急性のある病気はもちろん、眼や歯、腰や膝など、加齢による疾患の患者増は避けられない。ところが、高齢化と患者増に対応できるだけの医療体制はとても整わない。前出の医師・・・