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社会・文化

中国が強奪する 「国土地理情報」

空と海から脅かされる国境離島

2014年3月号

「本気で獲りにきている……」。慎重な言い回しが定評だったある中国研究者は、顔を曇らせながらそう切り出した。  安倍晋三首相の靖国参拝などで一層険悪化する日中関係。経済協議も全く進まない。一方、中国政府は昨年十一月に「東シナ海防空識別区」を一方的に公表し、今年一月には「南シナ海漁業許可制」を海南省が施行するなど、あからさまな拡張主義を見せている。  そうした中、日本国内でも太陽光発電事業を通じて侵蝕に蠢く中国側の秘められた、だがきわめて明確な「意図」が少しずつ見えてきた。 衛星画像の納入業者は中国系企業  最大七万ヘクタール―。リースも含め太陽光発電の設備認定面積はそこまで伸びた。ここ一年半で最も進んだ国土買収が太陽光発電事業にからむものだ。三十八円(/kW時)とドイツの二倍以上の買い取り価格を国が二十年も保証するわけだから、こんな美味しい仕組みを中国資本は逃さない。  東京都内に本社を構えるE商事は、豊富な資金とネットワークを武器に、日本の農林地を買収し続けている中国系企業の一つだ。すでに東北地方から九州に至る全国三十カ所で設・・・