「空洞化」する日米同盟
米中「新型大国関係」に呑み込まれる
2014年3月号特別リポート
中国がオバマ政権に対して投げた巧妙な罠とも言うべき「新型大国関係」に米国は一歩、また一歩と引き込まれていく。国民世論の「内向き」傾向、巨額な赤字を背負った財政の軍事費に対するシワ寄せもあって、オバマ大統領は世界の警察官たる役目を放棄すると公言するに至った。そんなところに、ウィン・ウィンの関係で仲良く世界を取り仕切ろうとの呼びかけは甘い囁きに聞こえないだろうか。キッシンジャー元国務長官、ポールソン元財務長官、ブレジンスキー元大統領補佐官らはかねて米中両国で世界的な問題に取り組むべきだとの「G2(グレート2)論」を唱えていたから、新型大国関係論は中国版のG2論と称していい。
米中がいかなる形であれ接近すれば、米国と他国との同盟関係を締めていたボルトは緩む。従来の国際秩序には異変が生じ、米国の同盟国に不安が高まっても当然だろう。安倍晋三首相の靖国神社参拝にオバマ政権は「失望」し、それに対し衛藤晟一首相補佐官は「米国の失望には失望した」とユーチューブで述べた。日米関係への波及を恐れて取り消したものの、底流で日米同盟が炎症を起こしている一つの兆候だろう。{b・・・