インドを蝕む 「闇経済」
浄化は「永久に」不可能
2014年3月号
インドでは街の至る所で物乞いに遭遇する。老若男女問わず、哀しい視線で施しを乞う姿はすぐに見慣れる。こうした物乞いは個別に「営業」しているわけではなく、非合法の地下組織によって統制され彼らの資金源になっていることが知られている。「インド・マフィア」と呼ぶべきこうした地下組織はインド国内あらゆる街に存在し、この国の陰の部分を担っている。
インド経済の実態が不透明であることはいまさら言うまでもないが、その大きな原因の一つはマフィアなどによる地下経済であることはあまり注目されていない。
「地下経済の規模は、GDP(国内総生産)の二割とも四割ともいわれるが実態は誰も掴んでいない。これがインド経済の隠れた原動力になっている」
現地紙の編集幹部の一人はこう語る。インドのGDPは約一兆八千億ドル。単純計算でも日本円で三十兆円を超える地下経済が存在するのだ。この国は英国植民地時代の名残で規制や法律が多く厳格な一面を持つ一方で、一皮めくればルールは存在しない。この二面性がインドの特徴であるが、これがマフィアを育む土壌だ。{・・・