総崩れのEU内「新興国」
中・東欧諸国が危機の火種に
2014年3月号
経済危機が続くヨーロッパ連合(EU)で、中・東欧諸国が迷走している。近年の経済成長で「EU域内の新興国」と期待されたが、言論の自由を規制する独裁的な指導者や、ポピュリスト(大衆迎合主義者)、ネオナチ、極右が次々と台頭し、将来に大きな疑問符がつき始めた。各国の外為、株式市場は一月末から大荒れで、欧州の不安材料になっている。
EUを罵倒する「封建君主」
安倍晋三首相の憲法改正ドライブに、危うさを感じる人にも、もどかしく思う人にも、ぜひ知ってもらいたい政治家がハンガリーにいる。
ビクトル・オルバン首相は、二〇一〇年五月の再登板(前回は一九九八~〇二年)から九カ月後、憲法改正案を国会で通過させ、一二年元日に施行した。一院制国会の議員定数(三百八十六)を百九十九に半減し、選挙制度も変えた。国名の「ハンガリー共和国」から「共和国」をとり、中央銀行の独立性を奪う法律まで制定させた。
五十歳という年齢相応の丸い腹を揺らせて、毎週ピッチを駆け回るサッカー狂で、その趣味通りにサッカー補助金を増額し、人口二千人の故郷の寒村に国立のサッカー選手養成・・・