米中が「宇宙軍拡」で火花
同盟国を巻き込み「競争」激化
2014年3月号
米国と中国が、宇宙空間の軍事競争を本格化させている。中国は「嫦娥三号」の月面着陸など、国威をかけた宇宙開発を進める一方で、宇宙空間の監視体制作りや衛星攻撃兵器の開発を密かに進めている。米国内では、「米軍封じ込めを狙っている」との警戒が強まっており、宇宙空間における米中の軍拡は、日韓両国などアジアの同盟諸国を巻き込んで進んでいく見通しだ。
「サイバー攻撃の脅威に匹敵」
それはひっそりと始まった。
昨年七月二十日午前八時半過ぎ、山西省太原衛星発射センターから、三基の衛星が打ち上げられた。後の嫦娥の大騒ぎとは対照的に、中国は最低限の情報を国際機関に通知しただけだった。使途は「技術衛星」とあいまいにされ、衛星の名前も「創新三号」「実践十五号」「試験七号」と平凡だった。
それから二カ月。米軍のスペースウオッチャーたちは、この衛星群の不可解な動きに目を見張った。三衛星のうち一基が、軌道を外し始め、別の中国の衛星に近づいたのである。そして衛星は、ロボットアームと見られるもので、別の衛星をつかむ実験を行った。
「宇宙空間で衛星を破壊、除去する『・・・