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経済

東レに迫る 「技術流出」の危機

韓国に奪われる虎の子「炭素繊維」

2014年3月号

 東レが世界に誇る戦略製品である「炭素繊維」が危ない道に迷い込んでいる。いまや東レの炭素繊維は、米ボーイング社製B787の全構造材重量のうち五〇%に採用されるなど、時代の最先端を走る素材として各国企業の羨望の的になっている。だが、四十年の長きにわたる地道な研究開発と多額の投資のなせる業―、そうした慢心なのか、足元で進める韓国での事業拡大が「技術流出」の危機を招いているという。  最近、韓国の日系企業社会である「噂」が囁かれている。「昨年、東レは数人の技術者を秘かに解雇している。理由は社内の技術が社外に流出する危険性があったためだという」(日系商社駐在員)。  この噂について東レのOBが語る。「暗躍しているのはサムスン電子。サムスンは技術者の職歴を隠して東レに潜り込ませていたと聞く。それも実に巧妙な手口だから、東レもしばらくは気づかなかったようだ」。  技術供与の時代も含め、東レには半世紀にわたる韓国との付き合いがある。それだけに、「韓国を信用し過ぎる弊害もある」と指摘するこのOBは、「東レは本来出してはいけない国に先端技術(炭素繊維)を出してしまった。もしかしたら・・・