「右傾化暴走」安倍が掘る墓穴
自民党揺るがす「反米保守」の台頭
2014年3月号
東京・銀座八丁目のビルの三階に、ミシュランの三つ星を獲得している「鮨よしたけ」がある。二月十二日夜、この店のカウンターに首相安倍晋三を中心に意外な組み合わせの政治家が並んだ。安倍の両脇には公明党の衆院経済産業委員長富田茂之と経済産業副大臣赤羽一嘉。そしてこの会合を設定した新党改革代表荒井広幸、さらに首相秘書官の今井尚哉も同席した。普段はあまり酒を飲まない安倍が珍しく地元山口の銘酒「獺祭」を口にした。会合の主たる目的は富田と安倍の意見交換にあった。富田は与党の「教育委員会改革に関するワーキングチーム」で自民党の座長・渡海紀三朗を補佐する副座長を務める。その一方で、弁護士の富田は、安倍が強い意欲を見せる集団的自衛権の行使容認をめぐる憲法解釈についての公明党の論客でもある。
たまたまこの日の衆院予算委員会は集団的自衛権の解釈改憲をめぐってヒートアップした。質問に立ったのは民主党の大串博志(比例九州)。大串は内閣法制局次長の横畠裕介と公明党の国土交通大臣太田昭宏に質問を集中させた。目の前で論戦から外された形になった安倍は何度も答弁を要求する。しかし、予算委員長の二階俊博は見えない・・・