「拝金主義」 米大学スポーツの闇
「カネとクスリ」に汚染された巨大市場
2014年2月号
二月二日。米ニュージャージー州でアメリカンフットボールのシーズン最終戦、スーパーボウルが開催される。全米最大のスポーツイベントと形容されるこの試合で二〇一三年シーズンは終了する。
米四大スポーツと呼ばれる、アメフト(NFL)、野球(MLB)、バスケットボール(NBA)、アイスホッケー(NHL)の市場規模は桁違いだ。中でもNFLは年間市場規模が約八十億ドルと、MLB(約六十億ドル)に水をあける。
しかし実は米国には隠れた巨大スポーツ市場がもうひとつある。全米大学体育協会(NCAA)の市場規模は約七十億ドルとMLBを超える。これはサッカーの英プレミアリーグの二倍の数字だ。「たかが大学スポーツ」がこれほど稼ぎ出すという事実は驚愕に値するが、そこには光と影が存在する。
「アマチュアリズム」の嘘
NCAAの前身となる合衆国大学間体育協会(IAAUS)が発足したのは一九〇六年。大学フットボールにおける死亡事故を防止するためのルール作りのために作られた。当時は各大学が年間数試合の対抗戦を行っていただけだが、毎年十人以上の選手が試合中に命を・・・