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政治

《政界スキャン》348

自民党リベラル「たった一人」の反乱

2014年2月号


 改築して立派になった衆院第一議員会館二階。ほとんど人気のないこの委員長室フロアの最奥に、記者たちがポツリポツリと取材に訪れる一角がある。

 衆院政治倫理審査会会長室。いかめしい名札の部屋に、その主である異形の人物はいた。

 村上誠一郎(六十一歳)。衆院議員当選九回。愛媛県選出。村上水軍末裔十八代目の当主を自任する。特徴は、多分永田町一のウエスト(腰回り)というか、優に百キロを超える巨体と、膝を痛めないよう二本の杖をストック代わりに歩く姿だ。昨年末成立した特定秘密保護法を「安倍(晋三首相)の趣味」と切り捨て、自民党でたった一人衆院本会議採決を棄権したことからマスコミ界での存在感を高めた。

 与謝野馨以上の政策職人でもある。データを収集、チャートを作り、自ら分析して、あらゆる政策について自らの回答を準備している。スタンスは、財政・経済、外交・安保政策いずれも徹底した保守リベラルだ。安倍政権のジャブジャブの金融緩和、右寄り外交、原発再稼働路線にはとても賛成はできず、歯に衣着せぬ政権批判を続けている。
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