安倍では 「憲法改正」できない
政界内外で支持が広がらぬ理由
2014年2月号
自民党政調会長の高市早苗が八十人ほどの聴衆を前に力説した。「安倍内閣でできなかったら、いつできるのかという危機感がある。焦りに近いものを感じる」と。一月十八日、党本部での「憲法改正シンポジウム」での一こまだ。
高市の「焦り」は、内閣総理大臣の安倍晋三をとりまく「保守タカ派」の間で共有されつつある。安倍が憲法改正に強い意欲を示し、その実現に有利な環境があるのに、思いほどには機運が高まらないからだ。リベラル勢力の改憲派からは、「安倍こそ、究極の『護憲派』」(民主党の閣僚経験者)と揶揄する声が漏れる。「安倍でなければ、できない」のではなく、「安倍だから、できない」のだと。
安倍の姿勢と法知識の浅さ
改憲派の数は、衆参両議院とも改正案の発議に必要な総定数の三分の二を超えている。二月には国民投票法を事実上使えなくしていた「三つの宿題」(・投票年齢の確定、・公務員に許される運動のあり方、・国民投票制度の一般化)の答えを盛り込んだ改正国民投票法案を、自民、公明両与党が通常国会に提出する。会期内に成立すれば、年内にも具体的な改正案の検討が始まり、二〇一・・・