三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

「粛清」の嵐吹き荒れる中国

「政敵抹殺」に血道をあげる習近平

2014年2月号

 一月二十二日、中国共産党の規律検査部門である中央規律検査委員会監査部はホームページで、武漢市人民代表大会常務委員会の羅長剛副主任(副議長に相当)や、福建省環保局の王国長副局長ら七人の重要官僚を経済問題で調査していることを発表した。「ほぼ有罪で、すでに身柄を拘束した」との意味で受け止められている。いずれも局長級幹部だが、担当分野も地域もバラバラで、それぞれ別の汚職事件に巻き込まれたとみられる。  二〇一三年三月に発足した習近平政権は「腐敗撲滅」をスローガンに全国範囲で汚職官僚の摘発キャンペーンを展開している。過去一年間、毎日のように政府高官への調査が発表されている。しかし、同じ日に七人もの局長級幹部の失脚が発表されるのは異例なことだ。「中華人民共和国の建国以来、汚職高官にとって最も悲しい日」と党中央の決定を称賛するメディアもあった。  しかし、現場の官僚たちは別の見方をする者が多い。北京市共産党委員会に勤務する三十代男性職員は「一人の局長級幹部の失脚は、その部下や関係者、少なくとも十人以上が贈賄などの罪に問われ、刑務所行きを意味する。そんなに安易に決めていいのか」と話し・・・