トルコは泥沼の権力闘争へ
凋落する「イスラム模範国家」
2014年2月号
トルコの権力闘争が深刻化している。レジェップ・エルドアン首相率いる公正発展党政権に対して、司法・教育界に力を持つ「ギュレン運動」、トルコ経済を牽引する財閥、そして長年の権力機関だったトルコ軍がそれぞれ、政治・経済の主導権を争っている。経済成長で急拡大した利権を巡る戦いで、トルコのリスクは高まるばかりだ。
汚職まみれのエルドアン一家
最近のエルドアン首相は、世界中の「陰謀」と戦っている。内閣、さらにエルドアン家にまで汚職捜査が及ぶと、猛烈な勢いで司法・捜査当局を粛清して、「陰の権力機構(英語でDeep State)がある」と非難した。その背後には「外国勢力がいる」として、アメリカを中心にした国際的陰謀を指摘。さらにトルコ市場で儲ける金融機関を攻撃し、大企業を糾弾した。
発言の真意は追って解明するとして、最近の汚職事件から見てみよう。今の危機は、首相ら政権幹部が自ら招いたものだからだ。
「エルドアン一族らの腐敗ぶりは、マスコミ統制によりほとんど報じられていないが、国民は肌で感じている。放置すれば政権の命取りになりかねない」と在トルコ消・・・