危機に瀕する英国「新聞界」
巨大国営放送に潰される「地方紙」続々
2014年2月号
英国の地方メディアが惨状を呈している。世界中の紙媒体がインターネットの脅威にさらされているが、多様な新聞が国民から愛読されてきた英国も例外ではない。しかも「敵」はネットだけではない。最大の脅威は巨大国営放送、英国放送協会(BBC)だ。
「BBCのオンライン・サービスは地方紙を圧迫しており、民主主義を脅かしている」
昨年十一月にテレサ・メイ内務相は、英国編集者協会の年次総会でBBCを強く批判した。自身の選挙区で発行されているメイデンヘッド・アドバタイザー紙が総会の席上で窮状を訴えたことに応えたものだが、「リップサービス」ではない。内相は、「地元に密着した地方紙だからこそ記者は問題を掘り下げられ、政治家も選挙区の生の声を聴くことができる」と語り、民主主義を支える意見の多様性を確保するためにもBBCによるニュース報道の独占から地方紙を守らねばならないと強く訴えた。
地方紙復活は困難
階級社会の英国では、いわゆる全国紙が「高級紙」「タブロイド(中級紙、・・・