三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

《企業研究 》マルハニチロホールディングス

「農薬混入事件」で奈落の底へ

2014年2月号

「当社グループは食の安全の確保を経営の最重要課題と位置づけ、専門部署である『品質保証部』を中心としてトレーサビリティシステムの導入等に取り組んでおります。しかしながら、製品の大規模な回収を余儀なくされた場合には、コストの発生と当社グループに対する信用の低下により、当社グループの業績と財政状態に影響を及ぼす可能性があります」

 水産最大手、マルハニチロホールディングス(HD)が昨年六月に提出した二〇一三年三月期有価証券報告書のリスク情報欄には、こんな文言が、いの一番に掲げられている。とはいえ、まさかそれが現実に我が身に降りかかろうとは、久代敏男社長ら経営陣にとっても「ほとんど想定外だった」(周辺筋)に違いない。

 マルハニチロHDの全額出資子会社、アクリフーズの群馬工場で製造された冷凍食品から農薬「マラチオン」が検出された問題が波紋を広げている。

 コロッケやピザなど自主回収の対象(約六百四十万パック)となっている食品を食べて嘔吐や下痢など何らかの健康被害を訴え出た人は、一月中旬までに二千人を超え、いまや三千人に迫る勢いだ・・・