三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

WORLD

米国が「警察官」を辞めた世界

中東から崩壊する「平和と秩序」

2014年2月号特別リポート



「米国は世界の警察官になるべきではない」「同盟国や友好国がらみの戦いには巻き込まれたくない」「軍事力より交渉で、もめごとは解決しなければいけない」とオバマ政権は二期目に入ってことさら本音を曝け出してきた。

 しかし、警官が警棒は使わないと宣言したら何が起こるか。昨年十二月三十一日付の米紙『ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)』は「世界的無秩序の得点表」なる社説を掲げた。ウクライナ、タイ、中国、南スーダン、北朝鮮、シリア、エジプト、イランの八カ国を挙げ、「かつて米国は世界中でこうした紛争を抑えるか、少なくとも事態が悪化しないようにと努めた。しかし、オバマ大統領は『アメリカによる平和』は考えないと明言してきた。増大する無秩序に米国が手を打たないとすると、損害の得点は増えるだけだろう」と締めた。一月二十二日からスイスのモントルーで開かれたシリア国際和平会議では、案の定シリアのアサド政権が政権維持の意志をこれでもかとばかりぶちまけ、これに対し反体制派の
「国民連合」はアサド大統領退陣を断固要求して正面からぶつかった。
 いろ・・・