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連載

続・ 不養生のすすめ 37

低栄養の予防(1)
柴田 博

2014年1月号

 このコラムでも時折ふれてきたように、現在日本人の低栄養化が進んでいる。低栄養ということばは、かつて日本で用いられていた栄養失調ということばとほぼ同義である。この低栄養には、開発途上国型と先進国型の二つのタイプがある。開発途上国型は、熱量(カロリー)やタンパク質が不足するタイプである。先進国型は精製された食品ばかり食べることにより、食物繊維やマグネシウム、葉酸などが不足するタイプだ。

 興味深いことに、高齢者にみられる低栄養は、先進国において発生しても常に開発途上国型、つまり熱量やタンパク質が不足するタイプなのだ。しかも、さらに興味深いことに、国民全体の熱量やタンパク質摂取量の多いアメリカの方が日本より高齢者の低栄養ははるかに多いのである。この事実は低栄養の原因の複雑性を物語っている。日本よりアメリカの高齢者の方が経済格差が大きいことも大きな要因である。アメリカは車社会だ。車の運転が不自由になると、マーケットへのアクセスが困難となる。日本はこれまでは、徒歩圏内にマーケットがあるのが普通であった。しかし、最近、極端な過疎化、また都会においてもシャッター街の拡大により・・・