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社会・文化

日本人はなぜオーロラに惹かれるのか

極寒の観測ツアーは「満員御礼」

2014年1月号

 地平線の上で、白い小さな塊がもぞもぞし始めたら、光のショーの幕開けである。おそらく初めて見る人にとっては、それは灰色の雲にしか見えない。その塊は、そのまま消滅してしまうこともあるが、うまく育てば、緑色の発光を強めながら大きくなり、気づくと、巨大な投網を投げられたかのように全天に広がっている。  明るくなったり、暗くなったり。また、色を少しずつ変化させ、光の帯が天空でゆらめく。その圧倒的なスケール。その圧倒的な幻想性。それがこの世でもっとも神々しい空の自然現象、オーロラだ。 ウオッチャーの憧れは「赤」  オーロラを目の当たりにすると生物として軽い恐慌をきたす。毎冬、アラスカのオーロラを撮り続けている写真家の松本紀生が話す。 「すごく大きなオーロラがめちゃめちゃ速く動くときは、きれいというよりは怖い。たとえれば、とてつもなく大きな竜が夜空を舞っているような感じでしょうか。だから、ちょっとしたパニックですよ。え? なに? って」  科学が未発達な時代、オーロラが凶兆として忌み嫌われたのも当然のことのように思われる。  荘厳な・・・