受難続く三菱重工の「原発輸出」
日の目みることなき「純国産技術」
2014年1月号
「原発輸出は安倍外交の金看板。どうか、これには触れないでいただきたい」
二〇一三年夏以来、小泉純一郎元首相の「脱原発」発言が、永田町・霞が関に波紋を広げているが、安倍晋三首相の側近は、首相の政治の「師」へこんな哀訴を続けているという。当の小泉氏は、次男・進次郎氏が復興大臣政務官を務めていることを慮ってか、「原発輸出凍結!」とまでは踏み込んでいない。しかし、側近がそうした事態を怖れるほど、安倍首相は原発輸出に前のめりになってきた。
一三年一月、第二次安倍政権の発足後最初に訪れたのは、原発受注が決まっているベトナムだった。四月の中東歴訪ではトルコ、アラブ首長国連邦(UAE)と原子力協定を結び、六月にはポーランドなど東欧四カ国と原子力の技術協力に合意、十月は再びトルコへ飛んで受注を決めた。他にも交渉はサウジアラビア、インド、ブラジルと相次ぎ、安倍首相はさながら“原発商人”である。しかし……。
「三菱重工は複雑な気分に違いない。結局、首相の期待にも応えられないだろう」
ある原子力関係者がつぶやく。というのも、最重要のベトナム商談から“日の丸原発”の可能性が消えたか・・・