《政界スキャン》347
永田町の「二人の官兵衛」
2014年1月号
テレビに首相安倍晋三の顔が映ると思わずチャンネルを替えてしまうインテリ女性が増えている、という。特定秘密保護法案の強行採決が尾を引いている。だが、安倍にそれを迫った軍師・官房長官菅義偉に他の選択肢はなかった。あのタイミングで強引に処理しないとあの法律は継続ないし廃案になっていた公算が大だからである。それは政権にとって由々しき事態に発展、アベノミクス全体に疑問符が付きかねなかった。
菅のそのへんの勝負勘には鋭いものがある。確かに、週をまたぐまで国会を延長すれば慎重派からそれなりの評価は得られたであろう。だが、国会議員が週末に地元の声を聞き、新聞各紙が週明けに内閣支持率の世論調査結果を発表すると、公明党と一部党内に動揺を来すのが見えていた。秀吉を支えた黒田官兵衛ではないが、主君のため知恵をしぼって戦略を練り、またある時は非情な決断を求めるのは参謀の重要な役割である。菅にはその割り切りがある。
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永田町には今、二人の官兵衛がいる、という。菅官兵衛と、もう一人は鴨下(一郎元環境相)官兵衛である。
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