「挑発外交」へ暴走する習近平
東シナ海「防空識別圏」設定の内幕
2014年1月号
中国軍が十一月下旬、東シナ海に突如、防空識別圏を設定した。東シナ海のほぼ全域にわたって、ここを飛ぶ中国軍機が緊急発進する権利を宣言したのだ。各国の民間機も事前に飛行計画を中国当局に提出するよう義務づけたが、おかしなことだ。仮に東シナ海全体が中国の排他的経済水域(EEZ)だとしても、EEZは公海であり、国際法では公海上空の飛行は自由である。中国は明らかに「挑発」を仕掛けてきたのだ。
米ロとの「新型の大国関係」
習近平国家主席は、二〇一三年十一月上旬、共産党第十八期中央委員会第三回全体会議(三中全会)で党権を掌握した。習近平の次なるステップは、一四年三月の全国人民代表大会(全人代)で憲法を修正して「国家安全委員会」を新設し、そのトップの座に就くことだ。国安委設置の方針は三中全会で決めたが、正式に発足すれば、中国の国家主席も米国大統領のように、安全保障も治安維持も一元的に指揮する強力な権限を持つようになる。
強大な権力を握る習近平はそれだけの「成果」を出さなければならない・・・