「脱原発」で 苦境のドイツ
再生可能エネルギー推進の「誤算」
2014年1月号
「脱原発」と「脱化石燃料」を掲げるドイツで、再生可能エネルギーの発電が増えすぎて、電力業界が大混乱に陥っている。高額の賦課金(補助金)目当てに、風力・太陽光発電ラッシュが続いているためだ。日本が手本にしたドイツ・モデルは、供給過剰、財政圧迫、エネルギー・コスト高騰、電力料金上昇という多重苦を生み、ドイツの国際競争力にも影を落としている。
電気料金は十年前の二倍近くに
十二月中旬、ようやく発足したドイツ新内閣に、「脱原発」推進のポストが設置されると、ドイツ経済界の首脳たちから、失望のため息が漏れた。しかも担当は、副首相兼務のジグマール・ガブリエル社会民主党(SPD)党首である。ドイツ経営者団体連合会(BDA)のインゴ・クラマー会長は、ビルト紙の取材に対して「エネルギー政策を変えなければだめだ。このままで消費者とビジネスを保護できるのか」と、強い口調で不安を表明した。
会長が問題にしたのは、「エネルギーヴェンデ」(エネルギー転換)と呼ばれる政策だ。社民党と「緑の党」の連立だったシュレーダー政権時代に始まり、メルケル首相も受け継ぎ、再生可能エネ・・・